鬼畜王子の飼育方法
「…ッ!」
驚きと緊張のあまり、声すら出ない。
志季の腹部に降れる左手はいつの間にか熱を帯びて。
気づけば顔まで熱くなっていた。
「…あ、あ、あのっ」
「何だ。ケツ痛いのか」
「そうじゃなくて…っ」
手だよ、手!
どうすりゃいいのよ。
このままお腹に触ってたら…こっちの身がもたない。
「何だ。はっきり言え」
「…や、あの、何でも無いっす」
言えない。
言えるわけがない。
アンタのお腹に回した手がもどかしくて、心臓が凄いことになってるだなんて。
頬を撫でる冷風なんて全く気にならない程に、私の身体は熱く火照り初めていた。