それは、春の歌
名前で呼べよ
アクタイオンの第一王子は美しいことで有名だった。
流れるような金色の髪を後ろで緩く編んでいる。
海のような碧色の瞳は力強く、それでいてキラキラしている。
きめ細やかな白い肌は触ればしっとりと吸い付くような。
薄い唇から紡がれる声は低くもなく高くもなく耳に心地よい。
容姿、という点では非の打ち所のない王子だった。
雪の国にひとつの光、と人々が噂するほどに。
「アルディートさま、朝食の準備が整いました」
「あぁ、今行くよ」
薄く笑えば、メイドは頬をばら色に染めて、はいとか細く鳴いた。
皆の憧れの的。
男も女も心奪われ、その笑顔に頬を染める。
ただ、一人を除いては。