それは、春の歌

それでもそのように口にしたのは、言わずにはいられないのは、彼がどうにかこの戯れをなかったことにしてくれることを、真実望んでいるからだ。



彼はこの先この国を背負っていく身だ。

自分のような、見た目も中身も、かわいらしさのかけらもない女を側に置くべきではない。



「じゃあリートは見た目で人を選ぶわけ?」

「そんなことはございません。ですが王子には相応の女性と……」

「相応って何? 気持ちと身分はどこでつながってるわけ?」



イライラとアルディートは棘のある言葉を放つ。

彼が、ここまで不快を顕にするのを、リートは見たことがない。

故に、相当に動揺していた。



「第一王子としての御自覚をお持ちください!」

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