それは、春の歌

守る人、守られる人


翌日から、アルディートはリートを避けるようになった。

否、避ける、という言い方は適当ではないかもしれない。

なにせ私情を挟む余地もなく、二人は行動を共にせざるを得ないのだから。



ただ、はっきりと彼は彼女と距離を置くようになったのは事実である。



傍から見ても、アルディートがリートを気に入っていることなど一目瞭然だったので、この変化には誰もが驚かされた。

リートの上官などは、何か気に障るようなことでもしたのかと叱責したが、正直リートにはなんと答えてよいのかわからなかった。



なにやら戯れではなく、本気で一緒になりたいといってきたので、それはできないと断ったらへそを曲げてしまわれました。



リートの解釈は有体に言えばそんな程度だった。

もちろん、そんなことを言うわけにもいかないので、相変わらずの無表情で心当たりはない、と述べただけだったのだが。

< 19 / 28 >

この作品をシェア

pagetop