それは、春の歌
守る人、守られる人
翌日から、アルディートはリートを避けるようになった。
否、避ける、という言い方は適当ではないかもしれない。
なにせ私情を挟む余地もなく、二人は行動を共にせざるを得ないのだから。
ただ、はっきりと彼は彼女と距離を置くようになったのは事実である。
傍から見ても、アルディートがリートを気に入っていることなど一目瞭然だったので、この変化には誰もが驚かされた。
リートの上官などは、何か気に障るようなことでもしたのかと叱責したが、正直リートにはなんと答えてよいのかわからなかった。
なにやら戯れではなく、本気で一緒になりたいといってきたので、それはできないと断ったらへそを曲げてしまわれました。
リートの解釈は有体に言えばそんな程度だった。
もちろん、そんなことを言うわけにもいかないので、相変わらずの無表情で心当たりはない、と述べただけだったのだが。