それは、春の歌

守る守ると言っておきながら、守られていたのは自分。

距離を置いて、初めてこの雪の王国での陽だまりは彼だったことに気づく。



守られて、ずっと守られてきたのに、あんな顔をさせてしまった。

そんな自分に感じるのは、憤り。



守ると誓ったのは誰だ。

一体何を守るつもりだったのか。



守ると誓ったのはこの国じゃない。

アルディートの笑顔を奪うのなら、そんな国はいらない。

自分が、リート・フリューリングが守ると誓ったのは、アクタイオンの第一王子ではない。

アルディート・ケイン・アクタイオンだ。



そして、自惚れではなく、彼の幸せが自分と共にあることならば。

ならば自分のすべきことは、おのずと決まってくるのではなかろうか。

それが、己の望みですら、あるのだから。

< 22 / 28 >

この作品をシェア

pagetop