それは、春の歌
守る守ると言っておきながら、守られていたのは自分。
距離を置いて、初めてこの雪の王国での陽だまりは彼だったことに気づく。
守られて、ずっと守られてきたのに、あんな顔をさせてしまった。
そんな自分に感じるのは、憤り。
守ると誓ったのは誰だ。
一体何を守るつもりだったのか。
守ると誓ったのはこの国じゃない。
アルディートの笑顔を奪うのなら、そんな国はいらない。
自分が、リート・フリューリングが守ると誓ったのは、アクタイオンの第一王子ではない。
アルディート・ケイン・アクタイオンだ。
そして、自惚れではなく、彼の幸せが自分と共にあることならば。
ならば自分のすべきことは、おのずと決まってくるのではなかろうか。
それが、己の望みですら、あるのだから。