それは、春の歌
「それで、こんなところで一体何を?」
「わからない?」
「質問を質問で返すのは感心できませんよ、王子」
表情は特に変えないリート。
先からずっと、冷静といえば聞こえはいいが、能面のようともとれる表情が不満であるかのように、アルディートは鼻を鳴らした。
さっきまでの微笑みを絶やさない完璧な王子とはまるで別人だ。
「キミと二人きりになりたかった、と言ったら?」
「お戯れを」
「リート。いいかげんにしなよ」
「王子が何をお望みなのか、図りかねます」
頭痛がする。
眉を寄せ、米神を押さえたアルディートは隠しもせずにため息を吐いた。