それは、春の歌


「あ、アルディート……」



小声で、ようやくそれだけ言った。

これっきりですよ、とも。

そのリートの表情が、まるで泣き出しそうに、一瞬見えた。



「よくできました」



にっこりと、生き生きした笑顔をアルディートは見せた。

真実嬉しそうな顔は、ずいぶん子供っぽく見え、逆に酷く大人びても見えた。

とにかく、邪気のない笑顔に、リートは毒気を抜かれ、一瞬呆けた。



「あなたは一体、何がしたいんですか……」

「うん? 簡単だよ」



ボクのものになってよ。



囁かれて、めまいがした。

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