それは、春の歌
猫を脱ぐなと言いたいのではない。
年中それでは疲れてしまう。
不満なのは、それを脱ぎ捨てるのが自分の前だということ。
嬉しくないわけではない。
けれども自分はただの守り役。
身分が違う。
たとえ戯れであれ、そのような好意は、彼の身を滅ぼしかねない。
「リート、何ぼうっとしてるの」
耳に心地よい声がする。
アルディートが不機嫌を絵に描いたような顔でリートを見ていた。
「申し訳ございません。少々、考え事を」