秋明菊

スパイ


彼は、たまに夜勤の仕事があった。
彼が夜勤の日は一切外に出ずに
彼の帰りを家で待っていた。

夜行性の友達が多かった私。

彼が家に、いない日ぐらいは
友達に会いたかった。

でも、それは許されなかった。

『俺がいないから会うの?』
から始まって
『俺といるときに会えばいい』
『俺に会われちゃマズイのか』

‥‥‥‥に、なる。

だから私は、ろくに
友達にも会えなかった。

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