秋明菊
ある日、彼は不機嫌だった。

家の中をドスドス歩く彼を見て
私は自分に非があったのか考えた。
でも思い当たる節がなかった。

数時間、機嫌が悪いのが続き
やっと彼は口を開いた。

『よくシラッとできるな』
彼の口調は冷たかった。
タバコに火を付けて投げたライターが
座っていた私めがけて飛んできた。

何も心当たりがない事を告げると
彼は怒鳴った。

『俺が夜勤の時、
どこにいたんだよ!!』
彼は私を怒鳴り散らした。

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