秋明菊

全て話し終えると
彼は黙っていた。
話しているときも
彼は黙っていた。

静かに聞いていたよりも
無反応だった感じだった。

もぅダメなのかもしれない。
彼にとって私は
なんでもない存在なんだ。
むしろ存在してない。
仕事から帰ると
ご飯を作ってる。
掃除して洗濯してる人。

彼女って見られてないんだ‥。

私を見て何も思わなかったんだ‥
泣きすぎて腫れた目も
自虐して隠した傷も‥‥。
泣く私がウザイんだ。

たぶん私自体が
彼からするとウザイんだ‥

『別れよう』

彼は私が泣いたり
何か失敗をしたり
喧嘩をしたりすると必ず言う。

今回も同じだった。

< 51 / 73 >

この作品をシェア

pagetop