秋明菊

パチンコの中で
コーヒーを売る内容だった。

初めは慣れなくて
毎日疲れて帰っていた。
でも彼に弱音は吐かなかった。

日に日に店の雰囲気と
バイト内の人達と慣れた頃、
4時にバイトが終わり
30分程、話に夢中になって
帰るのが遅くなった時があった。

私は急いで帰宅すると
彼は私を睨んだ。

『何してたんだ』
『何で連絡しないんだ』

彼が私に言った言葉は
何一つ間違ってないと思った。

『ごめんなさい』
『話に夢中になって‥』

説明している時
溢れ出る涙を何度も拭いて
必死に話した。

『勝手にしろ!』

私の言葉は
彼に届いてなかった。


私は自分を責めた。

メール1つ
彼に送れば、こんなに
怒鳴られる事も涙を拭く事も
なかったんだと思うと
余計に涙が溢れ出た。


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