秋明菊

家に帰ると
彼はテレビゲームに夢中で
急いで帰ってきた私に
見向きもしなかった。

食事の支度を済ませ
リビングに運んだ。

彼はテレビゲームを消して
黙々と食べ始めた。

『今日、耳鼻科行ってきたの』

沈黙を和ませようと
話題を持ち込んだ私を
彼はテレビを見ながら
どうだったのか聞いてきた。

『疲れとかだって〜』

ストレスだなんて言ったら
彼の機嫌が
悪くなるような気がして
本当の事は言えなかった。

『ふ〜ん‥‥
まぁ‥自業自得じゃん?』

自業自得って?
どういう意味で言ったのか
私には理解できなかった。

でも彼は
心配してくれなかったのは確かで
たぶん面倒臭かったんだと思う。


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