嘘恋
「なにゆってんのー、お母ちゃん!俺は今日も明日もできちゃうよーん」

どうやら 夫婦生活のことらしい。

千恵は

「また下ネタか。エロおやじめ…」

「千恵ちゃん、みなさん、ではお父さんは酔っ払っちゃったから先に寝ちゃうよー」

千鳥足の父親を 朋久は 抱えて

「寝室は?」

千恵と 一緒に 父親を寝室まで 連れていった。

沙織は 片付けの手伝いをしていた。

「もう大丈夫よ、沙織ちゃんも朋久さんもありがとうね」

「お母さん、俺向こうかたづけちゃうんで、ごちそうさまでした。うまかったっす」

「遅いから明日でいいわよ。客間に準備してあるから自由に使ってくださいね」

朋久は 礼を言うと 大工仕事のあと 片付けをしに外へ戻る。

「あの人とまるの?」

沙織は 千恵の母親に 何気なく聞く。

「うん、週末だけで裏にお父さんの遊び場作るの安くやってもらってるのよ」

「大工なの?」

「なにかしらね。お父さんがやってることだからいちいち聞かないけどね〜」

「見てきてもいい?」

「まだなんもないよ」

千恵は あたしは シャワーするわと

沙織の様子がおかしいことは なんとなく 忘れていた。

沙織は、裏庭へ廻る。

小さなスポットライトの中 後片付けをする 朋久。

くわえタバコをしながら 時折 あくび…

沙織の様子に 気づいたようだ。

「びっくりだな」

「同じく…」

二人は 同時に 笑った。
「もう会わないと思った」

沙織のその言葉に 朋久は
「アハハ。俺は会うと思ったけど…」

「なんで?」

ちょっとくらい イケメンだから あたしが 電話すると 自信が あったのか…

沙織が本命に落ちて あの大学へいくことになるか…

「なんか。勘」

「自信過剰?」

「そう見えるの?」

沙織は木材を触る。

「座っていい?」

「いいよ」

朋久は汚れた木材の上にトレーナーを敷いて沙織が座るスペースを作ってくれた。

「慣れてる感じがする」

「女タラシっていみ?アハハ」

「うん…」

朋久は 笑いながら 良く言われる と 言った。
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