嘘恋

「でもさ、久しぶりにこんなスゲェ体験してさ。偶然にもほどがある…」

「そうだね…ビックリした…」

「また、会えて嬉しいよ。ほんとに。電話来ないと思ってたから…」

さっきまで、あんなふざけて 軽いキャラだったのに…

突然。

真剣な顔つきで、話した…

自信満々で 過剰で 軽いノリの 朋久ではなかった。

「これからも、会いたいなって…思った…」

沙織は、なんと答えればいいかわからなくて 黙っていた。

朋久は、笑いながら

「そんなかんじ…！！」

沙織も、自然と笑顔がこぼれた。

あんまり、遅くなると イケないねと…

「明後日まではいるからさ、おやすみ」

「うん、おやすみ」

「バイバイ」

今度の バイバイは、 また 会おうね。

…の バイバイ だった。

沙織は、家のなかに戻ると、千恵が リビングに待ち構えていた。

「どうだった?」

千恵はオレンジジュースを飲みながら 沙織に尋ねる。

「うん、おじさん、気合い入れてんだね…って」
「違うよっ！！！」

千恵は沙織にも、オレンジジュースをつぐと、続ける。

「何?」

嫌な予感…

「イケメン大工だょ」

「…」

「随分、長話じゃね?」

千恵は、自分の家に 沙織を呼んだ理由は、朋久を見せる為だった。

「千恵ちゃんさ。さっきあたしが話した話さ…」

沙織はもったいぶって はなしてるのでなく、

千恵がなんというか…

千恵の反応も怖かった。

「なに?なに?」

沙織の先程の話に続き、今度ばかりは、さすが 驚きを隠せないでいた。

「…まぢでか…?」

「…まぢでつ…」

しばらく 二人で ボーッとしていた。

「凄いな、サオタン」

「凄いね、ちーちゃん」

「マツじゃないのかも」

沙織は さすがに 即答デキズ…

そこへ、外から朋久が戻ってきた。

「大工さん、ちょっと」

千恵は 何を思いついたか。
朋久をリビングに呼ぶ。
千恵が 何を 言い出すのか… 沙織は ドキドキ…していた。