嘘恋
「なんだっけ、千恵ちゃん…だな。なに?」

「よく覚えてるなぁ…」
さすが、チャライ…とは、言えないけれど。

「おやじさんから、一日中言われていたからな、アハハ」

「あのさ、一番近いコンビニ、どっち?」

「酒?」

「いや、酒もなんだけど、タバコなくなっちゃってさ…」

「沙織さー、もう帰れば?ついでにコンビニ教えといてー。あたし、やらねばならぬことがありまして…」

千恵は 沙織に 目で合図をした。

沙織は余計な気? を 回す千恵に 内心 ハラハラ と………

ありがとうを…

思った…

「大工さんさ、帰ったら鍵しめてね〜」

「了解しました!」

かくして。

再度 沙織と朋久は、コンビニへ向けて 出発…


「寒いね」

もう 春が近づいてはいたが まだまだ 朝晩は冷え込む この時期。

「ちょっと待ってて」

沙織は、斜め向かいの自分の家から 上着を もってきた。

「スゲェ、近いな…。ってか俺、沙織ちゃん不法侵入かと思った…」

「ね。いろいろびっくりしちゃうでしょ…」

「で。タバコとお酒同時に買えるほうがいいよね…」

「それはベストだな…間違いない。…更に適度に遠いほうがいい…かなぁ」

沙織は また オチのある 話だと、

「君と長くいたいから?」
自分から 先に 言った。
朋久は 笑いながら ピンポンと 言った。

「私、ファミマ行きたい」

「いーよ。どこでも」

「遠いよ」

「いーよ。遠くて」

…………。

ほんとに 遠かった。

30分。

この間に、 何軒かのコンビニがあったけれど…。

「まぢで遠いな…」

朋久は、沙織の顔を 見る。

「遠くてもいいって、いったじゃん」

いたずらっぽい 笑顔に 朋久は、

「だよねー。ゆったよねー」

それにしても遠すぎる。
ようやく ファミマが見えた。

コンビニに入る。

「何買いにきたの?」

朋久は缶ビールを 2本

かごに入れた。

「ファミポテ」

「そのために、だけかい?」

「うん。そう」

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