嘘恋
「ねーねー、途中でコンビニ寄って!!」

千恵は後部座席で、ドライブを満喫している様子。

「ちょっとー、朝からなんなわけよー?」

やや…不機嫌な沙織。

すっぴんに近い というか ほぼ すっぴんで かろうじて ニットキャップを被ってきたのが 救い…。

「出掛けるなら出掛ける準備したのにー」

「だって急いでたんだもん、ね、ノッチ!」

「だれよ、ノッチって。オバマか」

沙織と千恵のやり取りを 笑いながら 聞いてる朋久。

「あ。ノッチ、コンビニコンビニ!!」

朋久は、忘れていたとばかりに すぐ先のコンビニに入る。

「なんかいる?」

千恵は二人にリクエストを聞く。

朋久は、千恵に2000円を渡して、俺 ブラックコーヒーのあたたかいやつ。
あとは すきなもん買ってきて。

…沙織は、バナナ牛乳を頼んだ。

「怒ってんの?」

朋久は沙織の顔を 伺う。
「怒ってないよ。ただ、寝ぼけてるし、化粧してないし……」


千恵がすぐに 戻ってきた。

「はい!おつり★ありがと、ノッチ」

「はいよ。んじゃ、高速乗るから、シートベルトしてね」

しゅっぱーつ!!!

朋久のバンが、勢いよく走り出した。

「ノッチさ、さっき彼氏紹介してくれるゆったじゃんかー」

後ろの席から ふたりの間に 顔をだす千恵。

「あん。飲み会やる?」

「やるーやるやる★★カッコイイひとのみね」

「どうかなぁ。…」

「さっきイケメンゆうたじゃないか」

「好みがあるからなぁ」

「サオタンも来るでしょ?」

「なんであたしも行くの…メンドクサイ…」

「彼氏いるもんなー」

朋久の空気読まない 発言。

「自分だって彼女いるじゃん。やっぱりチャラーなんだね………」

仕返し。

「幹事だから。笑」

「いつやるの?」

のりのりの千恵。

千恵と朋久の会話を聞きながら

沙織はバナナ牛乳を飲む。

ブルル… ブルル…

携帯のバイブレーション。

「誰か携帯じゃねー?」

朋久は自分の携帯を見ると 自分ではないことを確認した。
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