嘘恋

そしてまた 切ない 気持ちになる被害者が いる。
またもや 着信メロディー。

沙織は 相変わらず すやすやと寝ている。

「もしもし」

朋久は、 沙織が起きないように 最小限で話した。
「いや、明日帰る。来月中は週末は千葉だから」

「ゴメンゴメン。ちゃんと連絡するよ」

「…好きだよ。んなわけないだろ…」

後ろで 聞いている千恵。
さすがにバツが悪い。

「とりあえず、今忙しいから…落ち着いたらかけなおすよ」

朋久は 電話を終えると 大きなため息…。

「彼女?」

「一応ね」

「何人目?」

「どうゆう意味?」

「何人、同時進行?」

「一人だよ」

沙織 千恵の中で 朋久は 自分のイメージが 大分 脚色して つくられていることを理解するが

「へぇ」

千恵は、明らかに 信じていない 返事を返した。

「かわいい?」

「どうだろうな」

「サオタンよりかわいい?」

「なんでそんなこと聞くの?」

「沙織、かわいいでしょ」

「かわいいと思うよ」

朋久は、千恵が何故、こんな話をふってくるのか…疑問に思いつつも

「飲み会、いつがいい?」
話題を変えた。

「いつでもいいよ。あたしら春まで暇だしー」

卒業式までは、学校へは自由登校になっていた。
千恵は既に、専門学校への進学が決まっていた。
朋久は、携帯を取り出すと 誰かに 電話をかけた。

「もしもし?」

『おう。なにしてんの?』
「飲み会。女子高生なんだけど。やる?」

数分後、朋久は電話を切ると 千恵に

「千恵ちゃんたちが何人かあとで教えて」

「はやー。さすが」

「とりあえず、たのしく飲めたらいいじゃん?」

「彼女、大丈夫？」

「大丈夫だっつーの」

男って わかりやすい。

千恵は 朋久の気持ちを 確信していた。