嘘恋
『たかだ』

名前は和風だが、中身は洋服。

この アンバラス加減が 地味にうけていた。

「おーっす。今日何ー?」
朋久は、カウンターに座る。

高田 真。

朋久の5つ上の先輩で 幼なじみ。

2年前から 『たかだ』を開けている。

「はいよ」

真は、手書きの小さな黒板のメニューを 出した。
「涼子、なんにする?」

「パスタのセット」

涼子は パスタのセットと 極めてシンプルに言うが
実際のネーミングは

『たかだ風新鮮春色野菜と魚貝のスープパスタミラネーゼ』

「なんで、こんな恥ずかしいネーミングするの?」
朋久は、 それと 自分にはカレーライスと生ビールを頼む。

もちろん カレーも 絶妙な 長い名前が着いている。

真は

「頼むとき、恥ずかしいだろ。アハハ」

客の恥ずかしい顔を見るのが 趣味らしい。

「悪趣味だな」

朋久は生ビールを半分くらい 一気にごくごくと飲み干す。

涼子はアイスティーを掻き混ぜた。

「相変わらず仲良しだな。さっさと結婚しちまえばいいのに」

真は朋久を 茶化す。

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