嘘恋
「最近、忙しいみたいだね」

「あー。うん。しばらくは忙しいと思う。落ち着いたら埋め合わせするよ」

涼子とは、子供の頃からの 付き合い。

男女 として 付き合うようになったのは ここ 2、3年のことだが。

朋久の年齢で この期間は決して 短くはない。

「どこか行きたい」

「仕事休めないよ〜」

「うちで働けばいいのに…そしたらいつでも休めるよ…」

涼子の家は、中堅の建設業を営んでいた。

親同士も仲が良かったから、涼子と朋久が こうなっている以上、涼子の家的には 朋久に 家業を 継いで貰いたい。

遅かれ早かれ そうなるなら 早くに そいしてもらいたいと 前に 朋久自信 言われていた。

「まだ、目標こしてねーから。今おまえんとこ行ったら、俺、情けないよ」

朋久は 自分が 一級建築士に合格するまでは

自分の家で 自力で していたかった。

厳密には それ以外にも 理由はあったけれど。

「やりたくないんでしょ?」

涼子は、朋久の確信に迫る。

「んなことねーよ。まだ早いだけ」

自分にまだ 自信がないんだと 続けた。

「埋め合わせ、してよ?」
「来月、ボード行こうか?」

「ほんと?」

「時間、ないないゆってもしゃーないもんな」

「ありがとう、楽しみにしてる」

ようやく、涼子に笑顔が戻った。

食事を 終えると、涼子は 先に帰ると、店を出ていった。

朋久は、 店の外まで見送る。

涼子は、朋久の 唇に 軽くキスをした。

「じゃね。お仕事頑張って…」

「うん。涼子も気をつけてな。終わったら電話するよ」

朋久は また カウンターへ戻る。

「これ吸い終わったら行くわぁ」

朋久は3000円を テーブルに置く。

「じゃあ。行く。あとさ、来月ここで飲み会やるからさ、また、決まったらゆうけど。ごちそーさん」

「釣りー」

「野暮な。じゃあ」

朋久は、家路に急ぐ。

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