嘘恋
酒と結果と男と女
沙織の手元にには 本命大学の通知。

さっきから 開けずに。

かれこれ 30分。

自分の部屋にいた。

携帯がなる。

マツだ。

心のなかで ゴメンと思いつつも、着信を放置してしまった。

神様 仏様 死んだ ご先祖様!!!

合格してますように………。

封を開ける。

薄っぺらい 紙が 1枚。
深呼吸をして。

ぎゅっと 閉じていた 瞳を開ける。

【不合格】

人生は そんなに甘くない。

もともと 楽天家。

仕方ない。

これで 一つ すっきりして 前に進める。

落ちた 悲しみより

先の人生のほうが 大切だもんね…

………

とは、思いつつも。

やはり 少しは ショックだった。

一応は この一年勉強に明け暮れていたわけだし…
また、携帯が鳴る。

沙織は、携帯を取る。

『よう。明日、飲み会だぞ。忘れてないかと思って…かけてみた』

朋久だ。

『どうした?、やっぱり忘れてたか。アハハ』

「忘れてないよ。浅野さんのゆうとおーりになったから」

『なにが?』

「大学。落ちた」

朋久は、沙織が 落ち込んでいるのかと思い、

『そうか、…残念だったな』

「明日、おごりね」

沙織は、笑いながら言った。

『いいよ、もちろん。ケーキでも買ってきとくわ。ね』

「落ち込んでないよ、ハハハ」

『ならいいけどさ。明日気をつけてきなね』

「うん。じゃあ、明日」

『おー。また、明日』

明日、着て行く 服でも 選ぼう…

沙織は、クローゼットを開いた…。
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