嘘恋

「じゃあ、ヒロキ、手をかしてみなさい」

朋久は自分の向かいにいる ヒロキの 手の平をパチンと叩くと

「幹事、バトンタッチー〜！」

「テメェ、きたね〜」

「イヤイヤ、こんなかわいい粒ぞろいと飲めるのは誰のおかげだろーかー」

朋久は笑いながら 生ビールをおいしそうに飲んだ。

「じゃあ、自己紹介しよーか?」

「自己紹介というなのアピール」

「お前からやれよ、じゃあ」

朋久は、提案した彼を指名した。

飲み会で、一番最悪なのは 会話が弾まないこと。
男側の器量の問題なんだろうけれど。

「でわ、ヤル」

長谷川 広。４人の中で一番 背が高い。
今は大学２年生。
ニックネームは『ハセコー』

時計周りに 自己紹介は進む。

次は先程 ヒロキと 呼ばれて 『幹事バトンタッチ』を された彼。

横山 雄二。なんで 『ヒロキ』なの? と 沙織たちは 盛り上がる。

彼ら 仲間は 吹き出す。
俳優の〇〇ヒロキに 似ている… まぁ なんとなく 似ているかなと…

そして プラス 『ゲイ疑惑』が あったからと。

沙織たちも笑い出した。

ヒロキは

「ほんとは、ヨコヤンだから」と 付け加えた。

次、坂本 恵一。

クールな感じで 一見 冷たそうな印象だが
４人のなかで 一番 綺麗な顔をしている。

男子最後。

「浅野朋久。以上で」

「あだなは、プレイボーイで」

千恵の言葉に 男子陣に 爆笑の渦…

「アハハ、なんでしってんのー?」

恵一が クールな表情を崩して 笑う。

「もうやられた?」

ヒロキも合わせる。

「おいおいおい。俺で遊ぶなよ」

朋久は苦笑い。

「はい、つぎ、女の子たち★★★」

朋久は隣の沙織の肩を叩いた。