嘘恋

「疲れるよな、飲み会とかな。…」

「モテてたじゃん、楽しんでたよ?」

「そう?」

朋久の携帯電話が鳴る。
サブディスプレイから 涼子だとわかる。

着信音量を消す。


「彼女?また、出ないと言われるよ〜」

笑いながらだけれど。

「大丈夫だよ」

朋久は、シャワーしてくるわと。

部屋を出る。

ローテーブルのしたの段に、写真の束。

沙織は暇つぶしに、それらを 見ることにした。

制服を着て 今よりは 学生みたいな写真。

今日の仲間も写っている。

一番古くて 日付入りのもので ３年前の写真。

女の子もチラホラ 写っている。

特定の一人が 良く 写っている。

きっと 彼女だろう。

「綺麗な彼女じゃんかぁ…」

朋久が170㌢後半だとして
立ち姿の写真で 朋久と10㌢くらいしか変わらないから 背のたかい スレンダー美人。

顔は、純 和風な沙織とは正反対。

モデルのエ〇ちゃんみたいな 顔つき。

こうゆう写真を 見られるかもしれないのに

15分くらいして、朋久が戻る。

白のスウェットに 上半身裸。

バスタオルの隙間から 綺麗な体が チラチラしている。

「はいよー。風呂はいるなら、タオルとパジャマ。パジャマ姉貴のだから、大丈夫だよ」

「ありがとう、まだ大丈夫」

「なにみてんの?古いなそれ」

朋久は沙織の隣に 座ると 缶ビールを ﾌﾟｼｭｰと 開ける。

「彼女?」

沙織は一枚の写真を眺める。

「さーねー」

「てか、バレバレなんだけど」

「ハハハ。まぁまぁ。とりあえず」

「全然こたえんなってない」

「だよね。あーあー…」

「浅野さんて、よくわからない」

「なんで?」

朋久はビールを飲む手を休める。

「軽くはないよね」

「ハハハ。今更かよー」