嘘恋
「どうした?」

「なんでもない」

「なんでもなくないだろ。泣いてる」

朋久は沙織の顔を 伝う涙を 拭う。

「彼氏のこと?」

「…うん」

朋久は タバコに火をつけた。

「後悔してる?」

「してないよ」

「じゃあ、どした?」

ベッドヘッドに 寄り掛かり 横になっている 沙織の髪を触る。

「気にしないでいいよ…」

「俺のこと、待ってくれない?」

「どうゆう意味?」

沙織は朋久の顔を下から 見上げる。

「お前のこと、好きだよ」

「話しがぶちギレしてて意味わからないよ」

沙織は笑う。

これが 『セフレ』なのかな。


「セフレ?」

今度は沙織が 朋久に。

「違うよ。てか、そんな言い方しないのー」

「だってお互いに付き合ってる人いてさ…エッチしちゃってさ…どうみてもセフレだよ…」

「俺、沙織ちゃんのこと、本気だよ。だから、こうなったことはうれしい。順番まちがえたことはゴメンと思う。彼女と別れたら、ちゃんと告白するわ…」

「別れるの?」

「だめなの?」

「い…や…。別れられない気がするよ…」

大当りだった。

「努力する」

朋久の さっき 歌ってくれた 歌みいだった…

「ネョ」

朋久は、沙織を 抱きしめる。

深く 今は 考えるのを よそう。

やめよう。

沙織も、今日だけかもしれない この 関係と 時間を

思い出にしてしまえば いいやと…

眠りについた。
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