嘘恋

ダイニングには、千恵の両親と朋久が食卓を囲んでいた。

あたたかい うどんと親子丼。

「おいしそー。おばちゃん料理屋さんみたいよねー」

沙織は、いつも 千恵のうちのご飯を そう思っていた。

「うれしくなっちゃうなー。いっぱい食べてね！まだたくさんあるからね」


父親は食べ終えて、リビングに移動。

食卓には 沙織 朋久 千恵の3人。

「おはよ」

朋久は、うどんをすすりながら 沙織と千恵に 声をかけた。

「はよーん♪」

「おはよ」

しばし沈黙。

「休みないの?」

千恵が朋久に声をかける。

最近の朋久は 平日は普通に仕事。

土日は、千恵のうちの手伝いをしている。

「あー。最近ないね…。まぁ、自営だから適当適当、アハハ」

「デートもできないじゃん?」

また、千恵が嫌みなことを言い出す。


「それはうまく調整ですよ」

「じゃあ、今度、皆でランドいこうよ」

朋久はその言葉から 千恵が雄二とうまくいったことを理解した。

「いいよ〜」

「じゃ、決めとくね。沙織と」

「俺、あれみたいな」

「なに?シー?ランド?」

「ダンスみたいな、ショーのやつ！」

また ものすごく アバウトな…

ディズニーである以上、大体 ダンスとショーが入っている。

「ソレイユ?」

沙織が一言…。

「それそれ！」

ディズニーランドの話しで盛り上がる ３人に

千恵の父親が

「朋久くんさー、じゃあ悪いけど、頼むね」

「はい、大丈夫ですよ、いってらっしゃい」

父親は、ダイニングを出て行った。

「どうしたの?」

千恵が母親に尋ねた。

「お葬式でね、今からお通夜に行くの。千恵、お母さんたち遅くなるから、夕飯適当にすませてくれる?」

母親から千恵は1万円を渡される。

「お釣り帰してね！」

「ケチ」