嘘恋

翌日。

昼を過ぎても 沙織からは メールも電話もなかった。

今日に限り 千恵も 風邪だとかで 部屋にこもりっぱなし…

沙織は 朋久に 今 あえば 絶対に 普通でいられなくなると思い

連絡を躊躇していた。

夜８時過ぎ。

千恵の家で 夕飯をご馳走になり 朋久は 帰る支度をしていた。


「じゃあ、お疲れ様でした！また来週きますね、ご馳走さまです」


とりあえず 千恵の家から 出ると 近くのコンビニへ入る。


携帯を見るが

着信もメールも

沙織からは 入っていない。

朋久は電話とメールで

『まだ近くにいるから気づいたら連絡ください。明日朝までは近くにいるから』

そして １時間後。

沙織から 着信。

『もしもし…』

「はいよ。やっと連絡きた…」

『まだいる?』

「いますよ…。近くのセブン。…会える?」

『…うん…』

「すぐ迎え行く」

…数分後 朋久から 着信。

沙織は 朋久の車に乗り込んだ。

「なんで連絡しないの?心配じゃんよ」

沙織の顔を しばらく振りに みた気持ちになった。
たった１日のことなのに。

「ゴメン、たくさんはなしたから疲れちゃった…」

「…彼氏は大丈夫だったの?」

「もう、彼氏じゃないよ…」

「別れたのか?」

沙織は頷いた。

朋久は、沙織に

「二人で話したいから、ゴメン」と いって 適当に近場の ラブホへ入る。

部屋へ入る。


朋久は沙織に 冷蔵庫のなかの飲みものを渡すと 自分もコーヒーを飲んだ。

そして


沙織の右頬の腫れた跡を見つける。

朋久は 沙織の隣に座ると くわえていた タバコを 消した。

沙織の顔に触れた。