嘘恋
「様子おかしい、いきなりセックスする、最後にそれ?はぁ?なんなのよ」

涼子は 朋久の手を振りほどいた。

起き上がると、シーツを体に巻いた。


「涼子も気づいてんだろ」

「なにが?」


「俺達の今の関係が……終わってるってことだよ」

「終わってないでしょ?ちゃんと会って、こうしてセックスもして…」

「それだけじゃねーか…。もう止めよう…。いや。止めたいんだよ…」

朋久は 高校2年の あの事故以来、自分を閉じ込めて 生きていた。

親友の死。

音楽を捨てたこと。

そして 涼子への 謝罪の感情。


最初から 同情で つきあったわけじゃない。


涼子はベッドの隅で 小さくうずくまっていた。


朋久はタバコを1本くわえた。


涼子の首から 腕 背中を 撫でる。

傷痕を 確かめる。


大分 傷痕は薄れていた。

「涼子の体のことは、一生かけて償う。お前がいなかったら、俺がそうなってた…。ずっと、俺がそうなればよかったと思ってきた」

「同情であたしとつきあわなくていいから?」

「違う………。おまえのこと傷つけたこと、ホントにあやまりきれないよ」

「いまだって、こうやって傷つける…トモはいつもそう。優しいふりして、ヒドイことする…」


「…だから。だから終にしたいんだ。ずっとお前を守ってくって…。俺にはやっぱり無理だ…」
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