嘘恋
「あたし、トモがいるだけでいい。他になんもいらないから…お願いだから、ずっと側にいてよ…」

涼子は朋久に抱き着く。
「うちもつがなくていいし、なにもいらないから…。トモといたいよ…」

朋久は、涼子を離すと

「涼子、ゴメン。俺、他に好きな子がいる」


涼子は、


朋久の頬に平手打ちをした。


パチンと 部屋に 音が響く。


そして 枕や ベッド周りにあるモノを朋久に投げ付けた。


「涼子っ」

朋久は、涼子を 抑えるが 涼子は ベッドサイドの小さな灰皿を投げ付けた。

朋久の額に かすった。

「って…」


涼子は、ようやく 手を止めた。


「…ゴメン…大丈夫?」

「大丈夫だょ…」

朋久は手の平を見ると 血が着いていた。

涼子は、タオルで朋久の額を押さえた。


「涼子、ごめんさい…。ずっと、涼子のこと傷つけてばかりで」


朋久は涼子に土下座をして 謝った。


「知ってた。…トモが同情であたしといること。きっかけはあの事故だった。体は傷ついたけど、ずっとすきなひとが、側に居てくれるなら、いいっておもった…」

「あんとき、涼子が身代わりになってくれたから俺はあのあとも音楽出来た。感謝してる」


「あと、同情でしょ…」

「ちゃんと、好きだったよ。なのに、日に日に、愛情が同情になってきた…。自分でもどうしよーもなかった」
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