嘘恋
続く偶然
家に着くが、今日は帰りが遅いと 言ったし、うちにはまだ誰も居なかった。

携帯が鳴る。

幼稚園からの幼なじみ。高校はちがえど、家は隣。

ほぼ 毎日 顔を見る。

たわいもない話。

恋愛 勉強 愚痴 夢…。

藤沢千恵。

「はいよー」

『はいよーじゃないよー。メールしても返事ないからさー。発表じゃんかー。どうしたかと思ってさ』

「あー、ゴメンゴメン。今、家?」

『まーね、一人だからな。嫌みか』

二人のなかで 一人とか 二人は 彼氏が いるか いないか。

一人とは 自分だけ と 言う意味。

千恵は彼氏がいないから 一人。

沙織はマツくんがいるから二人。

「行っていい?」

『いや、むしろ来てみたいな』

「なんで?どした?」

『イーから、とりあえずきなよ』

沙織は千恵の意味ありげな話を途中で切ると、部屋着に着替えて 千恵の家に行く。

なにやら 家の隣に 納屋みたいな なにかを建てているらしく 千恵のお父さんと大工さんたちの声がした。

「ちわぁー」

「お。おかえり」

「たらいま。ちーちゃん、お腹すいたぉ…」

沙織は一日中 なにも口にしていなかった…

朋久がくれた 缶コーヒーだけしか、お腹に入ってない。

「じゃあさ、もうちょいまちなよ。夕飯くうていけば?」

「まぢー?嬉しい。今日うち夕飯ない予定でさ…」

「なに、その予定?」

千恵は、烏龍茶とちょっとしたお菓子を持ってくる。

「とりあえず、合格おめ★ってことで!!!乾杯だね」

「ありがとーっ!!!」

「…で、なんで、一人?松ちゃんは?」

「…いや。いろいろあって…」

沙織はお菓子を食べながら、朝からの出来事を 千恵に 話すべきか 迷っていた。

べつに 何もやましいこともないのだが。

全てを言える 唯一の親友だし

良いことも…まぁ 悪いことのほうが 多いが…

共に して 過ごしてきた 仲間なのだ。
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