嘘恋
沙織は ひと通り 出来事を話した。

「で、イケメンか?」

千恵はニヤニヤしながら 沙織を見る。

「まあ、多分。ちーちゃんも好きそうよ」

「さおちんのカッコイイは微妙だからなー……」

千恵はベッドに横になる。

「マツは?」

「あー。マツは正統派過ぎて…カッコイイかもしれんが好みじゃないのよ。アハハ」

マツは、沙織の一目惚れだった。

同じころに 沙織と千恵は 地元の教習所へ通いだした。

教習所は 同世代が どうしても 多くなるから

暗黙の了解で 教習所 = 出会いの場 という 方程式がなりたっていた。

同時期に教習所へ入ったものの中で 女子では 沙織が No.1 男子では 松本良平がNo.1と 噂されていた。

そして、教習が終わる頃に 沙織から 告白した。
松本は 今時の感じではなくて、頭もよく 優等生的なイケメンだったから 付き合ってると 言っても、沙織的には、 実感がわかないでいた。

沙織自身も マツといるより 千恵や女友達といるほうが 楽しかった。


「まだ付き合ってまだ3ヶ月くらいじゃん?これから来年になったら続くのかねー。まあ、マツくんは浮気しなさそうだが、意外とあーゆードマジメに限りやらかすからな」

「失礼な…マツくんはそんなことしないよ」

「いやいや。うまくいくにこしたことはないんだって」

下の階から 千恵の母親が 千恵と沙織を呼ぶ声がした。

「お。夕飯夕飯〜★★」

千恵は 今行くよーと 怒鳴る。

「でさ、ちーちゃんはあたしになんの用事だった?」

そうだった。千恵が おいでおいでとさそったから 沙織は千恵のところへ来たのだ。

「あー。アハハ。忘れてた。でもいいやいいや。今からわかるしな」

どうせ 毎度の如く 蓋を開けたらたいしたことないのだ。

大概に おいて 千恵はいつもそう。

しかしながら 今日は いつもと 違っていた。

行きなれたダイニングへ入る。

千恵の母親が 忙しく動き回っていた。

ちょうど 沙織たちから見て真向かいに、後ろ姿の大工さんが一人。向には千恵の父親。

「おー、二人とも早くおいでおいで!たくさんたべな」

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