アイノイロ
コンビニを出て、会社に行くために駅に向かった。
丁度よく電車が来ていて、あたしは通勤ラッシュに巻き込まれながらも乗ることが出来た。
(あ、そだ!)
あたしのカバンから手帳を出して、今日の日付を開く。
ボールペンは3色。
それを赤にして、大きなハートを描いた。
本当に高校生みたい…
だけど今日はハートマークを書くべきだと言い聞かせて手帳を閉まった。
「どうしてハートマークなの?」
突然の問いかけにびっくりして声の方向を見れば…
「え…っ」
なぜかあの颯爽と会社に向かったはずの…彼がいた。
「どうして?」
「あ、その…えと…」
「当ててみてもいいかな?」
そう言ってにっこり笑う彼。
そして耳元で、呟く。
「俺とぶつかれたから…とか?」
明らかに口調が変わって驚いたけど、今は真っ赤になるしかできなくて。
あたしは頷く事も出来ずにうつむいた。