Lemon Drop
陽先輩は私のコトバを聞いて少し笑って私を再び抱きしめた。


さっき振り返っちゃったから今は正面からぎゅっとされてるわけで・・・


は、恥ずかしいよ〜!



「俺が驚いたのは、七香に避けられて自分が自分じゃないみたいにすごくショックだったことだよ」

陽先輩は少し自嘲気味に言った。


『え?』


困惑してる私にさらに驚くべきことを陽先輩は言った。


『小さい頃に会ったこと俺は覚えてたんだけど七香は忘れちゃった?』


それを聞いて私は言葉を失ってしまった。



「覚えてない?俺のこと。
七香ちゃん」


そう言った陽先輩は少し照れていたけど笑顔だった。





−・・・七香ちゃん・・・−





−・・・約束だよっ・・・ー







そう呼ばれて私は忘れかけていた思い出をハッキリ思い出した。



あの少年はやっぱり陽先輩だったんだ・・・



そうだよね・・・暖かい笑顔も優しさも何も変わらないもん。



私・・・どうしてわからなかったのかな?

こんなに似てたのに。



『よ・・・陽くん?』



私は体を陽先輩から離してそっと顔を覗きながら呟くように懐かしい呼び方で陽先輩の名前を呼んだ。
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