Lemon Drop
「うん」


陽先輩は嬉しそうに頷いた。


『本当に?』


私はまだ少し信じられなくて思わず聞いてしまった。

「そうだよ。俺、初めて会った時から何となく気付いてたけど七香忘れてるしさー。ちょっとショックだった・・・それに無視されるし?」

陽先輩は意地悪にそう言った。


『ご、ごめんなさい』


私は慌てて謝った。


『私・・・顔と名前は忘れちゃってたけど・・・ずっとあの頃の思い出が忘れられなくて・・・夢にまで見てて』


『だからずっとあの時の約束も信じてて会いたかったんです。
・・・それが陽先輩だったなんて本当に夢みたいです。ちょっと“運命”かな?って思っちゃいました!』


私が自分で言ったくせに照れながら少し笑って言うと陽先輩は


「“運命”だよ。だからこれからは七香は俺のだからね」


って言った。



『ふぇ?』


思わず変な声を出してしまった。


陽先輩はさらに私の耳に口を近付けて「好きだよ」って囁いた。


その瞬間嬉しくて私はまたぽろぽろと泣き出してしまった。



「今日はよく泣く」


陽先輩は私の頭を撫でながら言った。
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