Lemon Drop
『えと、私邪魔でしたね・・・では』


当初の目的を忘れて立ち去ろうとする私に

日野先輩が不思議そうに尋ねてきた。



「・・・何しに?」


えっとこれは“何しに来たの?”ってコトだよね?


あんまり話さない人なのかなぁ〜?



『私・・・すごく眠ったなんです。だからよくこの木の陰に寝に来るんです。』



『今日も少し眠ろうと思って・・・』



う〜、ちょっと恥ずかしいなぁ〜


本当のコトなんだけどさ・・・。



「俺も、寝に来た。木の上は?」


先輩がちょっと表情を和らげて上をチラッと見たあと

私を見て怪訝そうに尋ねてきた。



う、そんなに見つめないで欲しい。


心臓に悪いよ〜!



『行きたいんですけど・・・教室の窓から見えちゃうし』


『それに・・・怖いんです。木登りしたことないから』


私は割と初めて会った人とか人見知りしちゃうんだけどな〜


なんか自然に話せちゃうなぁ。


私と『眠った』ってところが似ているからかな?


そう考えて思わず微笑んでしまった。



先輩は突然スクッと立ち上がって



あっという間に木の上に登ってしまった。
< 23 / 107 >

この作品をシェア

pagetop