Lemon Drop
『え、えっと用事があって・・・ごめんなさい!』


私がそう言うと陽先輩は少し残念そうにしていて


「・・・そっか」


とだけ言って教室の扉の方に向かって歩き出した。


私は陽先輩の残念そうな淋しそうな様子に思わず


『よ、陽先輩!』


と呼び止めてしまった。



わ、私のバカ〜〜〜!
呼び止めちゃったよ〜!



「ん?」



陽先輩は歩く足を止めてこちらを振り返った。



私は観念して鞄を持って陽先輩の所に歩いて行った。


『お弁当あるんです・・・』


おずおずと鞄から出した。


陽先輩はお弁当を受け取って表情をさっきとは打って変わって少し嬉しそうに微笑んで


「顔赤い」

って言った。


『なっ』


私が言い返そうとすると陽先輩は今度はふわりと笑って

「ありがとう」


と言って私の頭を撫でた。
その笑顔に私はますます顔が赤くなってくるのを感じてもう何も言えなくなってしまった。


クラスメイトも絶句していた。


陽先輩の笑顔あんまり見ないで欲しい・・・と思うのは、私が思うのは間違いなコト・・・?


「じゃ」


って言って陽先輩は満足そうに教室を出て行った。
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