Lemon Drop
私はしばらく扉の方を向いてぼーっとしていた。


「やっぱりあるんじゃない・・・お弁当。

一緒に食べたそうだったし食べればよかったのに。」

と私に言ってきた。


『・・・』


私は陽先輩の笑顔を見た瞬間から感じてる胸の切なさに言葉が詰まって返事が出来なかった。


緑は不思議に思ったのか私の顔を正面から覗いた。

そしたら緑はギョッとして慌て始めた。


私の顔・・・どうかしたのかな?


「ね、ねぇ七香!今日は天気も良いし外で食べない?」


私は頷いて2人で屋上に向かった。

さっきまで陽先輩が居た場所にいたくなかったんだ・・・


−・・・


屋上に着いて柵に2人で寄り掛かりながら座った。


「七香・・・平気?
さっき泣きそうな顔してたよ?」

緑が心配そうに聞いてきた。


やっぱり顔に出ちゃってたんだ・・・


『あのね・・・やっぱり陽先輩を忘れるっていうのは難しくてね・・・』

私は噛み締めるように言う。


『陽先輩のコトを考えると切なくて笑顔を思い出すと苦しくて・・・

やっぱりすごく好きなんだなって思って・・・だから』


「・・・離れようとしたんでしょ?」


緑が続けて言ったから私は少し驚いた。
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