Lemon Drop
私は恥ずかしくて陽先輩の腕から逃げようとするものの強い力で抱きしめられて逃げられなかった。


『よ、陽先輩!!離して下さい〜!』


必死に私は陽先輩に訴えるものの陽先輩は


「嫌だ」


って言って離してくれなかった。

・・・それどころか力が強くなった気がする。


私は諦めて大人しくなった。
・・・だってさっきチラッと見た陽先輩目が笑ってなかったんだもん。



私が大人しくなったのを見て陽先輩が言った。


「やっと捕まえた」


恐る恐る振り返ると今度はいつものように笑ってくれた。


『・・・』


・・・やっぱりあの少年の笑顔と似てる。


もしかして本当に陽先輩だったのかな?


私が何も言えないで俯いていると


「どうして逃げるの?」


陽先輩が悲しそうな声で聞いてきた。

その声にハッとして顔を上げると陽先輩は表情もすごく悲しそうだった。


『ごめんなさい!』


私は陽先輩にそんな顔してほしくなくて口が勝手に動いて謝っていた。


「・・・なんで泣いてるの?」


そう陽先輩に言われて初めて自分が泣いてることに気が付いた。
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