何度でもなんどでも
「ちょっ、実桜!」


そのままひっぱられる私。

彼はまだあの悲しいような顔をしてこちらをみていた。


彼の姿が見えなくなった校門近くで私はようやくチエに解放された。


「実桜!あんたプリンスと何してんのよ」


「へ?プリンス?」


「二階堂佑(たすく)。高等部3年、理数科。現生徒会長であり、実家はこの学園を運営し、なおかつ家族は名だたる名医ぞろい。走る前から三冠決定のサラブレットよ!」


「チエちゃん…その喋り方怖い…鼻息も荒い、よ?」

「とにかく!私達が普通に喋れる相手じゃないの!わかった!?」



「は、はい」


「で、なんだったの?プリンスは」



「あー、えっと…人違い?みたいな?」


「なーんだ。ナンパとか、あの会長にしてありえないもんね。あんないい男がわざわざ文科の女子にちょっかいかけるわけないし」



ハハハ…

その通りでございますとも。
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