何度でもなんどでも
もう誰もいないかな、と思った教室には
元だけが制服のまま色を塗り続けていた。
「元・・・」
「お、実桜。どうだ、かなり進んだろ?」
「ありがとう。すごい、すごいすごい!」
さっきはもう絶望的と思ってた「ミニ縁日」が
なんとかなりそうなところまできていた。
「すごいよ。お疲れ様。元」
「お前も疲れんてんだろ?顔がちょっと青いぞ」
「ううん。大丈夫」
「さて、と。なんか食べてくか。腹減った~」
「うんっ!」
バッグを肩にかける元に私は何気なく聞いてしまった。
「もしかして、待っててくれたとか?」
「ちげーよ。ばーか」
「どうぜばかですよーだ」
いーっと舌を出した私の頭をかばんでぽんと叩いて
「ホント、かわいくない女」
って元は前を歩いてくんだ。
本当はわかってるよ。
待っててくれたんでしょ?
私のかばんと。
自分のかばんを用意して。