何度でもなんどでも

「だって、今全然余裕ないじゃん。実桜」


昨日の夜、元に言われた同じことをチエが口にする。


「ま、どっちも同じか・・・」


「何?」


小さくつぶやくチエの声が周りの音で聞こえなくて


もう一度聞き返す。



「昨日の夜だって・・・・・・」



言いかけたチエの声がかき消される。


講堂内に大きくなる歓声。



ステージ上のジュンが声を大きくする。


「それでは3年男子。二階堂佑」



歓声ともためいきともつかない皆の声が今日一番の盛り上がりを見せる。



ステージ上に上がる佑から目が離せない私はやっぱり正直者かも。



遠目に見る制服姿の彼は。



前と同じで。




あの集会で、見せた


厳しさと、優しさ。


彼の信念。





それがまたよみがえってくるようだ。





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