何度でもなんどでも
「よっ」
自然な佑の態度に少しほっとする。
「雨、すごいな~」
彼も空を見上げてつぶやく。
「今帰り?」
「うん・・・これからクラスの皆と」
「そっか・・・」
佑どうしたの?
理数科の出口は違うところじゃん。
ここは普通ならほとんど利用しないとこでしょ?
ううん。
あの夏まではいつもここから手をつないで帰ってた。
そんなことを思い出して、
自分はバカだな、って思う。
「模擬店、間に合いそう?」
「え?」
「陽太郎が心配してた。あと・・・ここ」
佑が指差すのはほっぺ。
何?
「ペンキついてる」
え?私?
急にあたふたする私を佑は笑って見てる。
右頬をさする。
「だから、ここだって」
佑の指先が私の左頬をかすめる。
触れるか触れないかの感触。
私は顔が赤くなるのを隠すように顔を反対側に向けた。