何度でもなんどでも

顔を横に向けると


傘を持ったまま息を切らす佑がいて。



私の名前を呼びながら追いかけてきてくれたんだ。




「ミオ・・・」



だけど、彼が見たのは、


元の胸の中で涙を流してる私の姿で。




私は動くこともしゃべることも出来なかった。





佑に見られた・・・。





佑は目を見開いて元と私を見たあと、


すぐに悲しい顔をして、何もいわずに私達の横を通り過ぎて行った。


通り過ぎたあとにかすかにあの大好きな佑の香りが残る。



「元・・・ごめん。私やっぱり」


元は、落ちた傘を拾って、私の手に握らせ、


「ごめん」


と小さくつぶやいて歩いていってしまった。







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