何度でもなんどでも

私達は手をつないだまま駅へと向かった。


いつもと同じように隣には佑がいて。



普段、学年も校舎も違うから、なかなかしゃべれないことを

この時間ゆっくり歩きながらいろいろ話をするんだ。


佑はどんな私のバカ話でも笑って聞いてくれる。



その時、私のかばんの中から、ケータイの着信を知らせる音楽が鳴り響いた。


「あ、チエだ」


なんだろ?


「もしもし?」


「あ!実桜?いきなりだけど、今日ヒロさんの地元で花火大会あるんだって。行かない?」


「えっ?」


ぱっと佑の方を見て話をする。


彼は気を利かせて何かお店のショーウィンドウを覗き込んだりしている。


「佑さんのことは、ヒロさんやジュン達に任せて実桜はそのまま佑さんとヒロさんの家に来てよ。ヒロさんのお母さんが浴衣着せてくれるって」


「は?」


いきなり?



隣を再び見ると佑も誰かからケータイの着信があったようだ。


多分、ヒロ、かな?


ほら、佑も私の方を見る。


それだけで意味もなくドキドキする私の心臓。



佑と花火大会??



行けるの?











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