何度でもなんどでも

「あっ、あれ元じゃない?」


チエの言葉に私は、たくさんの人ごみから外れたところで


ビール瓶のケースを積み上げる元の姿を発見した。


「元!」


「おー……おっ?」


私達の声に手を上げかけた元が、チエと私を見て

しばし呆然としている。


「お前らも日本の女性だったんだねぇ」なんて。


なにそれ~!



学校では会うけど、こうやって外で会うのは久しぶりで。


私はさっきのことも忘れて嬉しくて仕方なかった。


「ま、馬子にも衣装、つってな」


「なんだと~~っ?!」


「うそうそ。…すげー似合ってるよ」


「そうでしょ?」ってチエ。

「当たり前じゃん」って私。

「お前ら謙遜ってもんをしらんのか」って元。



「…元は?バイト?」

「ん?これは家の手伝い」

元の家は酒屋さんだ。



「チエ~、チョコバナナあるぞ!」


チエがジュンに呼ばれて「じゃぁね」って向こうへ歩いていった。








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