何度でもなんどでも
四・キスのゆくえ

皆の元に戻る途中で、

こちらに歩いてくる佑に出会った。


「佑!元がいたの」

嬉しそうに言う私に佑はまだなんとなく素っ気無い感じで

「あー、うん…チエに聞いた」

「そっか……」


やっぱりなんか変。


佑。


普段からあまりしゃべるほうじゃないけど、

なんか今日のはちょっと。。。


「佑? なんか怒ってる?」

「ん?いいや?」

「だって…」



瞬間、私は佑の大きな胸に引き寄せられた。


一瞬何が起きたのかがわからなくて。


「ミオは俺の余裕をなくす天才だな」

「??」

「本当はもう帰りたいくらい」


…やっぱり何か怒ってるんだ。

私の沈んだ顔を覗き込んで、佑は


あ~~~っ!


と言ってから、


抱きしめたまま、お互いが見えるように


佑は力を弱めて私を少しだけ離した。


「やばいよ……お前。似合いすぎてて。だから他の奴に見せたくないんだ」


私の正直な心臓が再び跳ねだす。


じゃぁ…


「じゃぁ、怒ってたわけじゃないの?

似合わないって思ってたんじゃなかったの?」


「…ごめん。逆。惚れ直してた…なんてあいつらの前で言えないだろ?」



佑~~!



大好き!


好き、すき!


他にどんな言葉を使えばいい?


どうやったら、この気持ちをそのまま伝えられるの?





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