何度でもなんどでも

私の唇にやさしく当たるものは何もなくて。


目を開けると



佑は私の頬をつつんだまま、うつむいていた。



「ごめん……」



「な、んで…謝るの?」



「………」



佑はゆっくりと私の頬に添えられた手を下ろして、


ぎゅっとこぶしを握った。





佑?




何があるの?






教えて。



私じゃダメ?


力になれない?






今度は本当に私自身の涙が頬を伝い始める。


それを見た佑は


私を深く抱きしめる。



抱きしめられるけど、


今世界で一番近いはずなのに、


遠いよ。


遠いよ、佑。




< 68 / 155 >

この作品をシェア

pagetop