何度でもなんどでも

お祭りの屋台が立ち並ぶところまで出てくると、

花火大会から帰ってくる人でごった返していて、

私達はどちらからともなく、すこし離れたところで

だけど、ほとんど何もしゃべらないまま時間を過ごした。


「佑!実桜!」


私達に気づいてくれたのは陽太郎と加奈子ちゃん。


「花火きれいだったよな~」

陽太郎は上機嫌だったけど、


加奈子ちゃんは私達の雰囲気に気づいて


少し心配そうに私の顔をのぞきこんだ。


「実桜、大丈夫?」


「…うん」


「なんか顔色悪いよ?」



加奈子ちゃん。


やっぱりキスできなかった……。


今はいえないけど。



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