何度でもなんどでも

奈子ちゃんはとても嬉しそうに佑の方を見ている。


とてもかわいい女の子。


「奈子ちゃん、ひさしぶり。私。加奈子。覚えてる?」

「もちろんだよ~。ヒロくんたちも元気?」

「元気すぎて困ってるよ!」


奈子ちゃんは、佑の方を見て

「佑くん、元気?」

と言った。


私の胸がズキンと音を立てる。


もう終わってる恋なのに。


私はさっきのことがあってか、奈子ちゃんの唇から目が離せなかった。


口紅をつけてるのかピンクのかわいいちいさな唇。




佑は、


この子とキスしたんだ。



この子とは、出来たんだよね。





私は思わず下を見た。


こんな自分が嫌だ。




加奈子ちゃんはそんな私の様子に気づいてか

「で、この子が佑の彼女」


奈子ちゃんは一瞬意外そうな顔をしたけど、すぐに笑顔になって


「そうなんだ。かわいい子だね」と続けた。



嫌だ。


嫌だ。


こんな自分。


佑が気持ちを打ち明けられないはずだよ。


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