何度でもなんどでも

「実は、俺小学校の教師になろうかと思ってんだ。だから、狙うは教育大」


「へぇ~…」


理数科の生徒がまわりに多いと、

多分彼らなりに目標に向かっているとは思うけど、

なんとなく、こう生活感がないと言うか、

密着感がないと言うか。。。



「うん。絶対似合うよ。がんばって!陽太郎!」


「実は、佑にも前言われたことあったんだ。お前には先生とか似合ってるぞ、って」


「…へぇ」


「なんか、佑に言われると勇気百倍というか。なんでもできそうな気がするんだよな」


「……」


何も言わなかったけど、本当はすごくわかる気がするよ。



でも、佑の名前が出てきて私はまたさっきのことを思い出していた。



……



「ね、陽太郎。私ちょっと調子悪いからさ、先に帰ってていい?」

「え……でも…」

「大丈夫!ちゃんとヒロの家で待ってるからさ。ね?皆にはそう言っておいて?」


そういうと、背を向けてお祭り会場を後にした。


「実桜!」

陽太郎の呼ぶ声も無視して。



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