君しか見えない
君しかみえない
この日を境に、凜花がどんどん変わって行く。
男なんてって思ってクールぶっていた凜花が、素直な女の子の部分がどんどん表に出てきた。
川上 陵弥は大した男だ。
あの、凜花をこんなにも素直にさせて、恋する女の子に変えた。
凜花の席から見える中庭のベンチにいつも彼はいて、そこから凜花を見上げている。
その陵弥の隣には卓もいた。
目を細め愛しいものを見るような顔をして。
その目に一瞬、胸が高鳴った。
…私が振った人…
あの時、彼の手を取っていたら今頃は、凜花みたいに恋する女の子になっていたかな……
って…私何考えてんだか…
凜花見てると恋愛も悪くないなって、思えてくる。
凜花が陵弥と付き合い出して、1ヶ月が過ぎた。
衣替えした薄着の身体には屋上の風は少し肌寒い。
最近はもっぱら凜花の恋のお悩み相談。
好きとかって感情抜きで男と付き合ってきた凜花には、本気になった相手の行動に戸惑うばかりらしい…
今日のお悩み相談は、陵弥がキス以外して来ないとか……
クスッ…凜花って本当に面白い娘。
それだけ大事にされてるって気付かないの…?